皆さん、こんにちは。
損益計算書原理主義者の五ノ宮損得(ごのみや・そんとく)です。
これまでの前提を覆すようで恐縮だが、損益計算書は単体で見てもあまり意味がない。
1つの企業の1年分の損益計算書を見ても、わかることはたかが知れている。
その損益計算書にどのような意味があり、どう評価するべきかを知るためには、複数の損益計算書を比較することが必要になってくる。
損益計算書を比較するには、主に、(1)時系列で比較する、(2)業界水準と比較する、(3)競合企業と比較する、という3つのアプローチが有効である。また、比較方法としては、売上高などの実数で比較する実数分析と、営業利益率などの比率で分析する比率分析がある。
同一企業の損益の変動を、数年スパンで比較する方法である。過去3〜5年間の損益計算書を並べ、現在の数値や比率がどういった傾向にあるのかを把握する。売上高が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかといった実数での比較や、営業利益率が上昇傾向にあるのか、低下傾向にあるのかといった比率での比較が可能である。
損益計算書を、異業種で比較するのも悪い趣味ではないが、同じ業界同士で比較した方が、有益な情報を得ることができる。例えば、自動車メーカーとIT企業では、事業構造が異なるため、損益計算書に現われる数字にも違いがあって当然である。たとえば、2012年度のホンダの営業利益率は5.5%、ヤフーの営業利益率は54.3%である。
ヤフーの営業利益率がホンダより高いのはビジネス構造上、自然の摂理であり、それをどうこういってもあまり意味がない。
しかし、同じ自動車メーカーであれば、ある程度事業構造が似通ってくる。従って、損益計算書を比較することでどちらの会社が数値的に優れているかの目途をつけやすい。
ありがたいことに、いくつかの組織が、業界の平均値をまとめた資料を提供してくれている。たとえばこちらの経営自己診断システムなどから業界の平均値データを入手することができる。
先ほどの例でいえば、自動車メーカー同士の数値や比率を比較することで、より具体的に企業の優劣を判断することができる。
たとえば、2012年度のホンダの営業利益率が5.5%であるのに対し、トヨタの営業利益率は1.9%である。営業利益率でいえば、トヨタよりホンダの方が優れていると考えることができる。
ちなみに、損益計算書原理主義教団では、会員たちに単体の損益計算書のみでの分析を強く奨励している。
え、これまでの話の前提と違う??
君たちあまちゃんと教団の会員を一緒にしないでもらいたい。
教団の会員たちには、日々損益計算書のことを考え、損益計算書に関する仮説を膨らませてもらいたいと考えている。そのためには、余計な情報を排除する必要があるのだ。
損益計算書原理主義教団の会員たるもの、たった一つの損益計算書からでもあらゆるイメージを膨らませることができる仮説力(妄想力ではない)が必要なのだ。